財産分与について

■婚姻中の実質上の共同財産の分配
■離婚後の弱者の生活維持をはかる

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦の協力によって築いた共有財産を分配することをいい、法的な性質により次の4つの要素が含まれます。

清算的財産分与

清算的財産分与とは、婚姻期間中に協力して築いた財産を夫婦で分配することです。 財産の名義や権利が、夫や妻のどちらか一方のものになっていたとしても、財産を築くには夫婦の協力があったと考えられ、裁判などでは貢献度の割合により財産を分配する方法が採用されます。

扶養的財産分与

扶養的財産分与とは、離婚によって夫婦の一方が経済的に不利になる場合に、扶養的な財産分与を行うことです。 例えば、長年専業主婦だった妻が高齢や病気などの理由で職に就けない場合や、幼い子供をひとりで養育しており職に就けず生活が困窮する場合など経済的に困難な状況にあるとき、夫は、妻の経済的自立の目処がたつまでの間、生活を保障しなければなりません。 清算的財産分与や慰謝料が少額で生活を維持できない場合や、財産分与や慰謝料を請求できない場合も含まれます。 ただし、離婚後に生活が困窮していない場合は、扶養的財産分与を行うことはありません。 また、財産分与を請求される側に、一方を扶養できるだけの経済力がなくては、扶養的財産分与は認められません。

慰謝料的財産分与

慰謝料的財産分与とは、財産分与と慰謝料を区別しないで金銭の請求や支払いを行うことです。 財産分与は、清算的財産分与の意味合いが強く、有責配偶者が金銭を支払う慰謝料とは異なります。 しかし、実情として財産分与の支払い額を決定する際には、慰謝料を考慮することが多くあります。 民法760条には、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と規定されており、裁判所はこの点を考慮します。 まとめると以下のようになります。
・財産分与は、慰謝料を考慮に入れることができるし入れなくてもよい
・財産分与に慰謝料が十分反映されている場合は、別に慰謝料を請求できない
・財産分与に慰謝料が考慮されていない場合や十分反映されていない場合は、別に慰謝料を請求できる

過去の婚姻費用の清算

過去の婚姻費用の清算とは、婚姻期間中の婚姻費用(生活費)を財産分与に含むことです。通常、婚姻中に婚姻費用分担請求として処理されます。

財産分与の額を決める

財産分与の額は事情により異なります。 均等に2分の1しなければならないといわけではありません。財産分与の基本は、当事者の話し合いになります。 二人が納得できれば、どのような比でわけても構わないわけです。 財産の額・財産形成への妻の貢献度・離婚後の生活・婚姻期間・離婚の経緯などを考慮すればよいでしょう。

注意すべきところ

財産分与の対象になる財産は、婚姻期間中に夫婦の協力によって築いた財産です。夫婦が協力して築いたもの全てが対象になると考えて良いでしょう。 主に、不動産や預貯金、株式などが分配の中心になります。 但し、結婚前から個人で所有していた財産は、財産分与の対象になりません。 また、婚姻期間中に相続したり、贈与を受けた財産なども対象から外れます。

財産分与も慰謝料の考え方と一緒で、離婚成立前に決定しておくべきです。離婚の財産分与請求権の時効は2年です。財産分与を後回しで、離婚成立してしまった場合、例えば離婚成立時にあったマンションなどを夫が勝手に第三者に売却してしまった場合、取り返せなくなります。もし、離婚成立前に財産分与を決定して、このマンションを妻の取り分として公正証書にしておけば、夫はこのマンションに手はだせなくなる訳です。財産分与するまでに時間がかかってしまうと、相手に勝手に処分される可能性も出てくるわけです。特に別居している場合などは、相手の行動が見えにくいだけに用心しなければなりません。